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言葉を持った化粧品

 今年7月に発売されたコスメのシリーズが面白い。
 フレッシュコスメ(自然素材を多用したコスメ)の「LUSH」のエモーショナルブリリアンスというコスメシリーズ。化粧品を「自分の心を映し出すワード」、つまり潜在的な願望を表現するものと位置づけたもの。つまり、今日の気分、気持ちに応えたキーワードを持つ口紅やアイシャドーを使ってみよう!という試み。

 例えば一番人気の口紅のキーワードは「陽気なステップ」。

陽気なステップ.jpg

これはオレンジが買った明るい感じのピンク色のリップ。他にも「満ちる野望」「魔法使いのように」「グラマラスクイーン」「情熱の炎」なんてキーワードも合ったりする。

満ちる野望.jpg

朝っぱらから「満ちる野望」を選ぶ乙女心もどうかと思うが、このキーワードと配色が非常に面白い。

色には、モノやイメージを連想させる力がある。モノを連想させるのは具体的連想で、イメージ(キーワード)を連想させるのは 「抽象的連想」といわれている。抽象的連想は、色とともに様々な人生経験をつんだ大人が持つ連想パターンで、赤=消防車といった連想ではなく、赤=情熱的といったイメージ的な連想を言う。
 この連想イメージは多くの場合一定のパターンを持っていて、急に赤=癒しと連想する人はほとんどいない。つまり意図的に色を使うことで、計算どおりのイメージを持たせることも可能になる。
 そんな意味でこの「エモーショナルブリリアンス」というシリーズを見渡すと、(「満ちる野望」なんて言葉の使い方はともかく)実に理にかなっていて、まるでこの抽象的連想のキーワードを女性の願望の世界に翻訳したようなものとなっている。
 
 例えば「魔法使いのように」のキーワードを持つリップは愛らしいパステルピンク。ピンクは女性が「愛される(愛らしい)存在」であることを最も強調し、男性の保護欲(守ってあげたい、何かをしてあげたい)を最も刺激する色。つまりピンクを見た男性によって魔法のように幸せな出来事が発生する可能性が最も大きい色なのだ。

魔法使いのように.jpg

 「自信」というリップの色もまさに世界。こちらは先ほどのピンク系とは打って変わった、落ち着いた赤。これは一生を通して赤やピンク系が好みであることの多い女性の中で、30才代、つまり落ち着いた世代になってきたときに一番惹かれる色。つまり今までになかった「自信」も生まれやすい世代とも言える。

自信.jpg

ちなみに
「人生を切り開き「一歩ずつ前進」していく先に見えるのはきっとこんな色」
と解説が載せられたリップ(キーワードは「ドライブマイライフ」)。これも「先に見える年齢」の女性の好みに見事にマッチしている。つまり花のような紫色。50歳代以上の女性をターゲットにしたブティックの店頭に必ず置いてあるのも、この系統の色をした一着だ。

ドライブマイライフ.jpg


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